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COLUMN

2020.12.22

街を舞台にした渋谷の都市型イベント「SIW2020」 イベントに作用する“街の力”や、これからの都市型イベントを探る!

#渋谷#イベント#ヒント

国内最大級のソーシャルデザインをテーマにした都市型イベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA(ソーシャルイノベーションウィーク渋谷)2020」(以下SIW)が117()1115()まで開催されました。SIWは“未来志向”の起業家やクリエーター等の価値観に触れながら、多様な企業やコミュニティとの出会いの場の創出、街を舞台に「これからの社会をリードする」アイデアやソリューションの体験の提供を目的として2018年から開催され、今年で3回目を迎えます。

SIWの面白いところはビジネスやマーケティングだけでなく、アートやカルチャーについて鋭敏なアンテナを張っているところ。テクノロジー、社会課題、スポーツ、ダイバーシティーなど幅広いジャンルを取り扱っており、まさに多様性・受容性の高い街「渋谷」を象徴するイベントと言えます。

今回はSIWのプロデューサーとして、全体設計からコンテンツ、クリエイティブ、コミュニケーションデザインまでを手掛ける渋谷未来デザインの長田新子さんにインタビューを行い、イベントの舞台となる渋谷の街が持つ力やこれからの都市型イベントについて探りました。


長田新子(おさだ・しんこ)/渋谷未来デザイン理事:ATT、ノキアで情報通信及び企業システム・サービスの営業、マーケティング及び広報責任者を経て、2007年にレッドブル・ジャパン入社。コミュニケーション統括、マーケティング本部長(CMO)を務め、独立。184月から現職。


―多岐にわたったジャンルを扱うSIWのイベント構成にはどんな意図があるのでしょうか

長田新子さん(以下、敬称略) 以前、長谷部区長からのコメントで「渋谷は盆踊り、ファッションショー、カウントダウンなどといったイベントはたくさんあるが、未来に向けて色々なことを考えたり、出会ったり、そこから新しいものが生まれたりとか。そういった活動がもっとあっても良いんじゃないか。」という内容が印象に残っていまして、せっかく渋谷にこれだけの人々や企業が集まっているのであればそれらが参加できたり、一般の人が参加して知ったり学んだり考えたりこれからのアクションに繋がったり、そういった場づくりが渋谷でできたらいいなと考えました。そのような場においては、ひとつのテーマに特化して限られた人が集まるのではなく、枠を超えてみんなで何か一緒にできるという活動にしていきたいと思いました。

―2020年のSIWは「HOW」というテーマを設定していましたね。テーマ設定にはどんな経緯があったのでしょうか

長田 実は2019年のSIWの最後に次回のSIWのテーマとして「Think Culture」を発表していました。しかし、2020年の年明けからコロナが流行し、オリンピックの延期も重なった中で、もう一度テーマを考え直す必要があると思いました。今年多くの人が向き合ったのは、新たな生活様式や価値観と共に“どうやって生きていくのか”ということだったのではないかと考え、SIWで今守るべき価値や新しく生まれてくるものを創造しようと、テーマを「HOW」に再設定しました。

―開催されるエリアの風土や文化、また参画者や来街者が、そのイベントの個性を形作ったり強めていくこともあるのではないかと思うのですが、そういった点での「渋谷の街が持つ力」についてはどう思いますか。

長田 ここ3年ほどSIWを通して自分の中で感じた渋谷の街の魅力としては、まず面白い人たちがたくさんいることです。ジャンルを超えて様々なキャラクターを持つ人がいること。そして渋谷に対して熱い想いを持っている人がいること。これはまさしくシティプライドの醸成につながると考えます。
2つ目は、街や行政が開かれていることです。一緒になって何かを進めようという空気があり会話がすごくある街。だからSIWのようなイベントも実現する街なのだと思います。
3つ目に、文化が根付いている街であることです。文化といってもメジャーなものだけでなく大小様々なカルチャーが街に受け入れられて根付いているのがユニーク。そういったところが人々を魅了するのではないかと思います。
3年目を迎えて感じることは「こういうことを渋谷でやりたい!」という人が増えたことです。SIWのスタート時はカンファレンスがメインでイベントも少し堅めだったのですが、今年はファッションやカルチャーなどの領域にも拡大したところ、プロボノ集団の方々から、「仕事の枠を超えて参加したい」とか、「SIWと連携して新しい取り組みをスタートしたい」といった声を多く頂き、SIWに集まるということにバリューが生まれてきているのではないか、と感じています。
全てのイベントは人間を軸に作られると考えているので、「やりたい」という意志を持っている人がたくさん集まることは渋谷の強みだと思います。

―SIWはひとつの会場でなく渋谷の街の様々な場所で開催される「都市回遊型」のイベントですが、場所選びのポイントやユニークな場所の活用実績などはありますか

長田 駅前のスクランブル交差点やハチ公広場などの人が集まるスポットだけでなく、渋谷には魅力的な場所がたくさんあります。SIWを通じて渋谷の新しい魅力を発見してもらいたいという狙いから、新しい商業施設やベニューと連動することをテーマのひとつに据えており、今回も渋谷区立宮下公園、渋谷スクランブルスクエア、渋谷フクラス、渋谷PARCOといったここ数年で開業した新スポットも積極的に活用させて頂きイベントを開催しました。また渋谷区との連携で実施した「アロープロジェクト」では落書きで汚れた壁をアートでキレイにしたのですが、魅力的な空間にすることでスポットを再発見するということもあると思います。今回はバーチャル渋谷*も活用して登壇イベントを開催したりもしました。大きな施設のみならず、今後も普段使われていない場所やユニークな場所の活用を実験的に行っていきたいです。

バーチャル渋谷はアーティストのライブやアート展示、トークイベントなど“渋谷らしい”コンテンツを発信・体験する渋谷区公認の仮想空間プラットフォーム

 

今年はリアルとオンラインのハイブリット型で展開されていましたが、それぞれの役割についてどう考えますか

長田 カンファレンスにおいては今回オンラインとオフラインの両方で展開したのですが、施策内容を全く同じにするのではなくオフラインならではのメリットを追求していきたいと思っています。
子供向けの体験型のコンテンツでは久しぶりにお子様の喜んでいる顔をたくさん見ることができ、「体験」の持つ力を実感しました。場に行かないと見られないものってあると思うんです。芸術をテーマにしたイベントやファッションショーなどオンラインで見ることはできますが、それ以上に場が作り出す空気から体感できるものって大きくて。
リアルで集まってやるのであれば体験価値をどれだけ豊かにできるかが重要であり、そこを来年以降シャープにしていきたいと考えています。

今後のSIWでは、どんなことを目指していきたいとお考えでしょうか

長田 せっかくこれだけ多様な人たちが集まってくださっているので、住民や商店街の方々にもっと参加いただけるようなやり方を模索していきたいです。渋谷には住んでいる人と働く、学ぶ、遊ぶという目的で来街する人がいて、そこをクロスさせるのはなかなか容易ではないんですが、SIWだからこそそういったことができるのではないかと考えてます。行政や住民など街の近くにいる人々がもっと参加していくことが大事だと感じています。
長期的な視点で言うと、今年からオンラインにチャレンジしたのでオンラインの強化はもちろんですが、もう少しグローバル化が必要だと考えており、オンライン手段を活用して外国人がもっと参加できる仕組みづくりを強化したいと思っています。また他都市との連携も今後模索していきたいですね。

 

ニューノーマルの時代に先駆けてイベントのテーマや展開方法までアグレッシブに変容していこうとする様は、まさに「多様な未来を考える」をグランドコンセプトに据えるSIWならでは。都市型イベントをリードしていくSIWから今後も目が離せません。
長田さん、どうもありがとうございました。

このコラムでは、これからもイベントレポートやインタビューなど、渋谷エリアの最新動向を発信していきます。
渋谷エリアのイベントスペースやユニークベニュー、駅・屋外広告についての情報はPLACEをご覧ください。


▽SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2020オフィシャルサイト

https://social-innovation-week-shibuya.jp/


岩八重 祥子 / Shoko Iwayae

1983年福岡県生まれ。広告営業、企画プランニング経験を経て企画開発本部ソリューションチームに配属。新規事業「ワンストップ渋谷」の立上げ、戦略に携わる。
渋谷の好きな場所は家系ラーメンの「侍」。現在はグルテンフリーに挑戦中のため大好きなラーメンを休止。

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