2022.03.08
#渋谷#イベント#ヒント
2021年10月21日~27日、11月25日~12月1日 にて、『美味しいフランス。シブフレ・シルブプレ!渋谷フレンチフェスティバル2021』を開催。
フランス原産食材の魅力と多様性の発信を目指した「PRイベント」、「レストランプロモーション」、「小売りフェア」という3企画をフェスティバル形式で実施。
今回、企画運営に携わったSOPEXA JAPON株式会社 岡田氏に企画の裏側を取材しました。
岡田 知子
旅専門のPR会社を経て、2020年4月からSOPEXA JAPON株式会社にて食に特化したPR活動に従事。ワイン、チーズ、野菜・果物、肉など食と飲料に関わる世界各国や地域の生産者委員会や協会のプロモーションを担当。
―東京オリンピックの影響もあり、ここ最近渋谷においても海外商品のプロモーションが増えつつあります。これまであらゆる方向性で海外食品のプロモーションを行ってきたかと思いますが、日本で実施する上で特に意識している点などはありますか?
われわれの仕事は、日常的に外国のものに触れているため基準が海外食品を知っている“自分基準”になりがちですが、自分が既に知っていたり、触れ合ったりしているからと言って、必ずしも届けたい日本の消費者への基準ではないのでその点は意識しています。
すべての人が外国へ興味があるわけではなく、美味しさや好む基準も違うため、一方通行にならないように様々な世代へのヒアリングやリサーチなどマーケティングをきちんと行った上で実施するようにしています。
―プロモーションを実施するにあたり、実施場所の選定や展開する内容で重要視もしくは意識している点などありますか?
齟齬が発生しないように細かく分析した上で提案することです。
というのは、場所の魅力を海外にいる主催者に伝えるのは非常に困難で、ボタンの掛け違いが発生しないように、来街・来館人数、層などのデータを集め分析した上で即した場所を選定するよう意識しています。
告知を含めた展開内容も同じで、日本と海外においてメディアの種類や位置づけなどに違いがあり、主催者側に説明するのに苦労することがあります。例えば、日本では多くの世帯が新聞を家に配達される形で定期購読しておりますが、海外では出かける際にスタンドで購入するようなスタイルのため、定期購読者数に違いがあります。そのような形式の違いなどはきちんと説明した上で理解を得るようにしています。
―日本人の間でも認識の違いが発生したりしますが、文化の違いがある海外とのやり取りはさらに感覚の違いが発生しそうですよね。それには共通認識しとして収集データの共有や形式の違いの説明など密なコミュニケーションが必要になりますね。
―ここからは今回開催したイベントに関して伺いたいと思います。
これまで、代官山で「アペリティフ」などフランスの食文化を知ってもらうことを目的とした飲食体験や販売などの消費者イベント、丸の内や渋谷の商業ビル内レストランでのプロモーション、百貨店や小売店舗でのフェアなど3方向による企画をそれぞれ実施されてきたかと思いますが、今回同時に開催しようとした理由を教えていただけますでしょうか?
今回連動させた理由としては、これまで消費者イベントで飲食機会を創出しましたが、お客様にとって「体験したものが実際にどこで購入できるのか」が繋がっていないという課題がありました。打ち上げ花火として消費者向けのプロモーションイベントを単体で実施するよりも、販売という小売り分野やレストランプロモーションなど複数企画を同時に開催し連動性を持たせることで、参加していただいた消費者の満足感や購買にも繋がる相乗効果を狙いました。また、様々な企画を連動して拡大することで宣伝効果が上がり認知の拡大にも繋がると思い試みました。
―なぜ渋谷で実施をしようと思ったのですか?
変化のある街「渋谷」と日本における既存のフランス食のイメージ脱却がマッチすると思いました。
日本においてフランス食のイメージは高級感や堅苦しいイメージがあると思いますが、フランス食はバラエティ豊かで、古くからのものあれば新しいものあり、高級なものもあればお手頃価格なものもあります。変化をしつつ、多様な文化がある渋谷であればイメージの脱却が図れると思い選定しました。
また、ターミナル駅として多くの利用者や来街がある渋谷は、幅広い年齢層に訴求ができると思ったのも理由のひとつです。
―単体企画を連動させたことでの変化などありましたか?例えば客層に変化があったなど。
各会場の来店・来館者層は違うため幅広い層に訴求できたと思います。小売りフェアに関して、東急百貨店本店にいらしたお客様が同時期に開催している渋谷スクランブルスクエア1Fでのフェアにもご来店いただいたということも聞いており、正に相乗効果に繋がったと思います。
また、連動の効果ということではないのですが、今回の狙いでもあるイメージ脱却に向けた若年層への訴求として、渋谷スクランブルスクエアで消費者イベント「ル・マルシェ」を実施できたことは大きかったです。あいにくチケットが完売となった時間帯と重なってしまい参加には繋がらなかったのですが、足を止めて興味を持ってくれる若い方が多くいて、この点はさらなる認知の拡大に繋がったと思います。
―コロナ禍に伴い、状況に鑑みたイベントの実施判断など非常に難しい中での準備。日々変化のある状況の中で、どのような協議が行われ実施に結びついたのかお聞きしました。
開催に向けて進めている状況下は、緊急事態宣言の発出や宣言の解除、まん延防止等重点措置に切り替わる可能性など予測ができない中での準備期間でしたね。※
その予測ができない中で、10月開催の一部を11月開催に変更することを判断されましたが、それはどのような協議のもと、判断されたのでしょうか?
※緊急事態宣言は2021年9月30日に解除された。
10月のイベント期間中は緊急事態宣言が明けた状況でした。しかし実施について決断する時は、緊急事態宣言解除の可能性は見えてはいましたが、まだ状況が予測できない中でした。完全に解除され制限がない状況か、アルコールの提供時間などに制限があるのかなど延期も含め様々なパターンを予測した上で、ベストは何か協議し判断しました。一番考慮したのはレストランプロモーションで、提供時間に制限がある場合、目指しているものが達成できるのか懸念があり最終的にはパート分け開催という判断をしました。
―様々想定した上でパート分け開催を選択されましたが、決断したポイントは何だったのでしょうか?
そのまま実施してもリスクはあるし、ずらした開催もシェフなど関係者の調整リスクはあります。その中でも重要視したのが集客でしたので、出来る限りリスクを抑えてより集客に繋がるのはどちらなのか協議を重ね、簡単な決断ではなかったのですが、その時のベストとしてパート分け開催を決断しました。
課題にあった購買に繋げるという点では同時開催をした方が良かったのかもしれませんが、一方で10月・11月のパート分け開催により11月実施分の事前告知やフェスティバル期間延長による告知の拡大などに繋がったため、視点を変えると様々な利点もあったので良かったと思います。
―通常時であれば問題なく進められることも、情勢によりいつも以上のリスクを抱えながら実施に向けて進めなければなりませんでしたが、今回実施してみてどのように感じましたか?
このような状況だからこその面白い発見がありました。
というのは、コロナ禍ゆえに人数・時間の制限、チケット制にしキャッシュオンデリバリーによる接触機会の制限などを行ったこともあり、ゆっくり楽しむ時間・ほどよい距離が生まれて参加していただいたお客様の満足度は高かったです。単純に食事を楽しむだけなく、会話も弾みより深く知ってもらう機会を創出できたと思います。主催する側としては、集客に意識がいくところですが、この状況だからこそ気づけた発見でした。
―なるほど。今後継続していくためにはお客様の満足度は重要ですね。今回参加してみてストレスのかかるイベントであれば次も参加してみたいという気持ちにならないですから、今回の満足度がこれからに繋がる機会の創出でしたね。
―最後にお聞きしますが、今回新たな挑戦として実施した「渋谷フレンチフェスティバル」ですが、今後の展望をお聞かせください。
一言でいうとパワーアップです。
今回はコロナ禍ということもあり集客含め制限がありましたが、今後はより多くの方に楽しんでいただくために複数拠点での実施などさらなる連動を検討し、この状況下でも目標とする集客が叶う形、より多くのフランス産食品を扱う企業・団体のご参加を模索していきたいと思います。少しずつ拡大していき、幅広い年齢層の方に届く企画に仕立てられたらと思っています。
難しい環境下での変化と挑戦。コロナ禍だから気づけた点と目標が見えてきて今後に繋がる初回開催でした。「渋谷」という街は新しいことにチャレンジする舞台として適した場所で、バラエティ豊かな街であるからこそ実現できた取り組みだったのではないでしょうか。
岡田さん、貴重なお話をありがとうございました。
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梅北 友希/ Yuki Umekita
宮崎県生まれ関東育ち。
管理部門を経て企画開発本部へ異動。
趣味はスポーツ観戦で、主に野球。シーズン中の週末の過ごし方は、現地観戦含めほぼ野球に時間を費やす。
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