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COLUMN

2022.05.24

若者マーケティング機関SHIBUYA109 lab.所長から見る、Z世代にささる体験マーケティングと渋谷の価値とは

#渋谷#イベント#ヒント

SHIBUYA109のターゲットでもある若者の「今」と「未来」について探るために設立されたマーケティングチームSHIBUYA109 lab.はSHIBUYA109を活動拠点に、若者への聞き取り調査や、独自ネットワークを活用したグループインタビューなどを実施する調査機関です。
今回のコラムでは、SHIBUYA109 lab.所長の長田さんにお話を伺い、Z世代にささる情報発信のヒントと可能性を探ってみました。


長田 麻衣

株式会社SHIBUYA109エンタテイメント
SHIBUYA109 lab.所長

総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPR サポートを経て、2017年に株式会社SHIBUYA109エンタテイメントに入社。
SHIBUYA109 マーケティング担当としてマーケティング部の立ち上げを行い、2018 5月に若者研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立。現在は毎月200人のaround 2015歳~24 歳の男女)と接する毎日を過ごしている。
繊研新聞連載「SHIBUYA109 lab.所長の#これ知ってないとやばみ」、宣伝会議等でのセミナー登壇・TBS『ひるおび!』コメンテーター・その他メディア寄稿・掲載多数。



|若者のリアルな視点とリアルな声を齟齬なく社会に伝える

―SHIBUYA109 lab.さんは事業会社の調査機関ならではのネットワークを持っており、定性・定量両面からの調査を行っていますよね。これまで幾つも自主調査をされてきたかと思いますが、目的とテーマを設定する上で意識していることを教えてください。

SHIBUYA109 lab.は毎月館内に立って200人のaround20と会話をしており、若者の実態とトレンドを把握して様々なビジネスに活かすということをしています。その上で意識しているのは、若者のリアルな視点とリアルな声を齟齬なく社会に伝えるということです。SHIBUYA109の調査機関だからこそ若者とのリアルの接点を持ちやすいので、来館者に対して「量」をもってインタビューができることも強みですね。断れ慣れしてしまうくらいかなりの人数に声掛けを行っています(笑)

―調査したデータは誰がどのように活用しているのでしょうか?

若者はSHIBUYA109を含め各企業のターゲットになるため、データ活用方は自社利用と企業様向けの両軸あります。どちらにも活かせるような内容を設定し、時事性の高い話題を取り入れるようにしています。例えば、高校の家庭科の授業で金融教育がスタートする際には、そのタイミングに合わせてお金に関する意識調査を行いました。また、SHIBUYA109内では、SHIBUYA109 lab.が行った生理に対しての意識調査の結果を国際女性デーのタイミングに合わせて館内掲出をして、若者の声を届けるというメッセージ性の高い情報発信を行いました。若者みんなのきっかけをつくっていくためにリアルの場所とデータを活用した事例にもなっています。

―若者のリアルな声を発信して、共感できたり、未来を考えるような企画・アクションも展開されているのですね!

―データ活用の他、どんな企業から連携を求められることが多いでしょうか。

お声かけいただく業種はファッションや美容、アプリ、TVなど本当に様々です。コロナ禍によりインバウンドが少なくなり、ホテルから空室のご相談をいただいた際は、SHIBUYA109 lab.で若者の興味を引くようなホテルプランを企画し、展開しました。また、SDGsを意識しながらよりよい経済活動を行うために、Z世代の学生と企業によるプロジェクト「SHIBUYA109 lab. EYEZ」が2021年に発足しました。「ファッション×社会課題」をテーマに定例会を「部活」と称して実施し、学生とのネットワークを活用して一緒に考えていく場も作っています。
今後も様々な業種・企業と連携を図っていきたいです。SHIBUYA109には食のインキュベーションやOOH(屋外広告メディア)もあるため、複合提案などを行い、提案の広がりをつくっていきたいですね。

 

|モノ基点ではない、リアルの体験を行う場所の重要性

―次に、調査対象とされているaround20についてお聞きしたいのですが、今のaround20はどんな特徴をもっていますか?

モノ基点ではなく、体験を重視した消費が主流になっているところでしょうか。彼らはSNSをはじめとしたデジタル環境が整備されていてもリアルの体験を求め、実際に体験したことをSNSに投稿して新たな繋がりをつくっており、リアルの体験を行う場所の重要性を感じます。また、体験に付随した消費も増えてきています。これまでは「この服可愛い!」と選ばれ買われていたものが、「この体験をしに行くためにはこの服が必要!」といった考え方になってきており、服の選び方ひとつにしてもイメージの想起の仕方が以前と異なっています。
最近ですと、Z 世代をターゲットにしたキャンディが話題になりました。パッケージやキャンディ自体のデザインもポップさと繊細さを持ち合わせたエモーショナルなものとなっていて非常に可愛いのですが、オフラインで販売しつつも喫食目的だけではなく、共感やシェアする価値のあるコミュニケーションツールとして日常生活で取り入れられるような展開方になっているところが興味深かったです。推しの名前を入れることができる飲料等のカスタムサービスも今の若者にささるコンテンツだと思います。

―すでに渋谷では若者が興味を持つようなイベント(K-POPアイドルのPOPUPや渋谷音楽祭がTikTokとタッグを組んで開催など)が開催されていますよね。around20を絡めたプロモーションに関して、改善の余地を感じる点やポイントとなる考え方など長田さんの所感をお伺いできますと嬉しいです。

まだまだSNSを意識した展開には余地があります。従来のハッシュタグキャンペーンやフォトスポットの展開方ではないような「映え」の感覚のアップデートが必要になりますし、それを行っただけでもかなりの効果があると思います。ハッシュタグキャンペーンをする場合、今の若者は一人あたり23個のSNSを持っていて、用途によって使い分けながら自分がどう見られるかを厳しく吟味しています。その点を意識せずに企業の意思・思惑を押し付けてしまうと、鍵アカウントに投稿されてしまい、誰にも拡散されずに終わる…と本末転倒な事態が起こります。SNS上でのコミュニケーションで若い子たちは何を大事にしているかを十分に把握した上で、今、重要視されているリアルでの体験を創出する機会を設計することが大切だと思うと同時に、その部分をさらに進化させていきたいですね。

―Z世代のインサイトと体験接点創出のための効果的なアクションが求められるというわけですね。

 

|若者の熱量をベースに他世代にも伝播する仕組みづくりを

―プロモーションやイベント、マーケティング活動を行う場所としての「渋谷」を長田さんはどのように捉えていますか?

若者だけでなく様々な世代が集まる街になっており、SHIBUYA109のような最新カルチャーからBunkamuraのようなクラシックカルチャーなど多様な要素が集まっているところが渋谷の特徴なのではないかと思っています。SHIBUYA109の視点ですと、渋谷は圧倒的に若者が集まっている街であり、熱量のある若者との接点をもつことができるため、様々な人が集まる街だからこそ他の世代にも伝播する仕組みづくりができるところが魅力だと思います。若者の熱量をベースに街全体を連携させて、様々な世代にアプローチできるようなリアルな体験の場を創出できると面白い展開方になるのではないでしょうか。

―最後に、SHIBUYA109 lab.さんの今後の展望を教えてください。

SHIBUYA109 lab.は設立して丸4年が経ちました。多種多様なクライアントから依頼された仕事も増えてきていますが、一番大事にしたいのは、若者の目線を一番知っていて、それをマーケティングという成果に活かすことができる機関であり続けることです。私たちは日本一の若者マーケティング機関になることを掲げています。今後も真摯に向き合う姿勢を大切にしながら、もっと様々な企業と連携してイベント開催し、若者との事業を行うなど新しい価値を生み出していきたいですね。
渋谷の街に関して言えば、今も進行している再開発により大人の街にも捉えられてきている部分もあると思いますが、若者の街という声も勿論あります。そのように、様々な側面をもっているのが渋谷の良さなのではないでしょうか。きれいにまとまらず、あらゆるコンテンツや人が交じり合いながら文化が生まれる場所であり続けてほしいです。


―渋谷の街自体が持つ多様なエネルギーとそこに集まる若者の熱量によって、今後も時代とともに魅力を増し、「変化し続ける街」「ユニークな文化の発信地」としてあり続けるのでしょうね。
長田さん、貴重なお話をありがとうございました!

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朽木 さや香 / Sayaka Kuchiki
2021年入社。
渋谷のお気に入りグルメは「そなや」の餃子と「Bistro Rojiura」「Tokyo kenkyo」でのモーニング。
SEVENTEENのファンで、渋谷エリアジャックの度に無上の幸せで満たされている。

 

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