2020.09.30
#渋谷#イベント#ヒント#ロケーション
100年に一度と言われる大規模再開発が進み、日々成長し続ける都市・渋谷。
このコラムでは「渋谷」が持つ魅力を伝えるべく、新スポットの紹介・イベントレポートなどさまざまな情報をお届けします。
今年3月に開催された「Shibuya Fashion Week 2020 Spring」。
13回目を迎える今回は、再開発が進む渋谷において「未来をつくるWAを」をコンセプトにサスティナビリティの考えを大切にしながら、ファッションとアートを発信。メインコンテンツのひとつSHIBUYA RUNWAY「The Designer」では、コンクリートに覆われた広大な空間を舞台に、気鋭のデザイナーが最新コレクションを披露しました。
なんとこのランウェイ、工事中の「渋谷駅西口地下施設」を特別に使わせてもらい、実現したそうです。渋谷ファッションウイーク実行委員会の事務局を担当している岩八重祥子さん、菅原理紗さんにお話を伺いました。
左から岩八重祥子さん、菅原理紗さん
―早速ですが、なぜ工事中の場所をファッションショーの会場に選んだのですか?
菅原 Shibuya Fashion Week(以下、SFW)は毎年2回春と秋に開催していて、例年「SFW Spring」はユニークな場所、「SFW Autumn」は文化村通りを道路封鎖してランウェイイベントを行ってきました。今回は、新たに発足した東京クリエイティブサロン※に参画する機運もあり、大幅なリニューアルを計画していました。ランウェイイベントも今までにない”新しさ”のある場所を色々探していて、そのなかで工事中の西口地下施設も候補に挙がりました。
岩八重 これまでのランウェイイベントではイベントスペースとして販売されている空間を使うこともあったのですが、西口地下施設は工事中ということもあり、まだ誰もイベントをしたことがない場所でした。渋谷駅のすぐ近くにこんな大きい空間があって、工事現場というユニーク性が高い場所でイベントができたことはインパクトが大きく、私たちが求めていた”新しさ”ともマッチしていましたね。
菅原 そうですね。また今回は新型コロナウイルス感染症対策として、無観客・生配信で実施したので、映像映えすることが会場選びにおいて重要な条件でした。ランウェイで最新コレクションを披露しファッションデザイナーからもブランドのイメージと合致しているこの場所を気に入ってもらえて、会場選びの大きな決め手になりました。
※「東京クリエイティブサロン」:東京をパリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンに次ぐ、ファッション都市の一つとして位置づけることを目指し、これまで、各エリアそれぞれで⾏われていたファッションイベントやアートイベントを、世界に向けて東京のクリエイティビティを強く発信するという共通の目的のもとに統合。第1回目となる今回は2020年3月15日(日)~3月31日(火)の17日間、都内5つのエリアで開催した。
―“工事現場をイベント会場として使う”という事例はあまり聞いたことがないのですが、「西口地下施設」はどのように実現したのでしょう?
岩八重 イベントを開催した地下1階は、2027年頃に周辺商業施設の地下と繋がりタクシー乗降場となる予定の場所だそうですが、工事現場をイベントの用途で実施するためには工事を進める渋谷駅街区土地区画整理事業共同施行者をはじめ、搬入・入場動線となる渋谷フクラスや、施設の所有者である渋谷区など、みなさまのご協力がなければイベントの実施はできませんでした。
菅原 西口地下施設の工事や管理に関わっている方々が、「この場所を活用していこう」と強い意志を持って協力いただいたことで実現できたと思っています。
―SFW事務局としてランウェイイベントを運営してみて、いかがでしたか?
菅原 工事現場でランウェイイベントをする、というのは最初あまりイメージが持てなかったのですが、クリエイターの力で、自分の予想を超えた見栄えの映像ができあがって驚きました。配信映像の最後には、地下施設を歩いていたモデル達が階段を上がって、渋谷の街へ駆けていくシーンがあるんです。モデルが街に解放されていく映像を見ていると、エネルギーがあって渋谷らしい映像になったかなと感じました。
岩八重 確かに、場所だけでなく演出もとても良かったよね。
菅原 あと、新型コロナウイルスが流行し世間的にも閉塞感のある中でイベントをやり遂げることができたという達成感も大きかったです。
岩八重 今回、ランウェイイベントは無観客・生配信の形をとりましたが、開催した日の夜に東京都から外出自粛要請が発表されました。イベントを実施するかどうかも危ぶまれましたが、スタッフの検温を徹底し、さらに通常一般の通行者が入れない地下工事現場という特殊な空間を会場にしていたので、結果的にはコロナ禍の状況にもちょうどマッチする会場だったのかな、と感じています。
―コロナ禍においてかなり早い段階で無観客イベントをされていましたが、今後のイベント開催のニーズはどのように感じましたか?
岩八重 今後はWith・Afterコロナの世の中において、イベント会場のニーズや使われ方も変化していっていると思います。これまで集客ありきで考えられていたリアルイベントの場が、オンラインコンテンツの収録の場として使われる機会が増えると思います。そうなると場所のユニーク性って今回の事例のようにコンテンツの魅力を上げる要素になるので、渋谷にあるそういった場を掘り出していくのも、渋谷の魅力向上につながると思っています。
菅原 そうですね。次回からも「渋谷ならでは」と言えるような展開を考えていきたいです。
―2020年の夏頃からはオンライン上でイベントが実施されることが増えてきていますが、やはり現地に行って参加しないと体感できないことがある、ということをコロナ禍において強く感じました。今日お話しいただいた工事現場のようにユニークな場所が渋谷にあるというのは、リアルな都市ならではのインパクトを感じます。今だからこそ、オンラインだけでなくリアルな場を連携できることがイベントの魅力を倍増させるのかもしれませんね。岩八重さん、菅原さん、ありがとうございました!
初回は「渋谷の地下工事現場」というユニークな場所でイベントを実施した渋谷ファッションウイーク実行委員会にお話を伺いました。
このコラムでは、これからもイベントレポートやインタビューなど、渋谷エリアの最新動向を発信していきます。
渋谷エリアのイベントスペースやユニークベニュー、駅・屋外広告についての情報はPLACEをご覧ください。
会期:2020年10月12日(月)~22日(木)
会場:新型コロナウイルス感染症対策のためオンラインにて開催
磯野 絵璃奈/Erina Isono
コーヒー党の旅好き。広告媒体開発・イベント企画経験を経て、2019年まで渋谷駅周辺再開発(主に地下工事)の広報担当を務める。担当ジャンルは再開発工事関連。
渋谷のイチオシスポットは、夕暮れ時の「渋谷二丁目交差点」。再開発中のビルが折り重なる隠れたビューポイント!すぐ近くの「コーヒーハウスニシヤ」のコーヒーも絶品です。
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