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COLUMN

2022.07.26

劇場版名探偵コナン最新作の舞台は渋谷!コンテンツによる渋谷活用の可能性を探る

#渋谷#イベント#ヒント

20224月に公開された劇場版名探偵コナンの最新作「ハロウィンの花嫁」では、渋谷が作中の舞台として描かれました。公開に合わせて渋谷を中心として展開されている施策「渋コナ」では、ファンによる作品鑑賞後の来街を促進しています。今回は、宣伝を担当する東宝株式会社の三浦さんにコンテンツによる渋谷の街活用についてお話を伺いました。


三浦 広暉(みうら ひろき)/東宝株式会社 映像本部 宣伝部 映画宣伝企画室

2017年に東宝株式会社に入社。2018年まで映画のパブリシティ宣伝を担当し、のちに不動産事業の宣伝・販促担当を経験。
2020年より現部署へ異動し、宣伝プロデューサーとして劇場版「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」を担当。
今作の渋谷での展開を中心に、様々なプロモーション企画の立案・実施を行った。
他にもアニメから実写まで幅広い映画宣伝を手掛ける。


©2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 

4/15(金)より展開中(一部企画は終了)の「渋コナ」。街中を回遊する「渋コナスタンプラリー&フォトスポット」をはじめ、東急電鉄でのスタンプラリー&キャラクターによる構内アナウンス、ホテルのコラボルームなどさまざまなファン向け企画を渋谷にて展開。また、公開日から期間限定で渋谷駅前の大型街頭ビジョン6つを劇場版恒例のオープニング映像でシンクロ放映した企画や、4/28(シ(4)ブヤ(28)の日)にはTOHOシネマズ渋谷にて全スクリーンの上映をコナンで独占する企画も実施した。

映画の公開前にも、情報解禁前にあたる21年のハロウィン時期で実施したハロウィンビジュアルの公開や、「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021」へのキャラクターの登壇、情報解禁後も渋谷区後援のもとミヤシタパークのスケボー広場で実施された「ガールズスケボーイベントin渋谷」をはじめ、今作ではかなり早いタイミングから継続して各種PRで渋谷を活用。

 

「渋コナ」でのねらいとは

©2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

―初めに、名探偵コナンという作品でこれだけの施策を一つの街に集中することはあまりなかったかと思いますが、作品の舞台となった実際の街で施策を展開した目的はなんでしょうか?

今作の劇場版「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」では、舞台である渋谷の景観を忠実に再現し、出てくる施設名もほとんど実在の名称を使用させていただいておりました。これだけ大々的に実在の建物・街が取り上げられたのは劇場版史上初で、これは本編制作段階から渋谷の街の関係者による協力があったことが大きかったです。そのような土壌があったため、「舞台となった街全体でコナンを盛り上げている」と発信してPRにつなげようと、施策を展開しました。宣伝部が主導した施策もあれば、街側主導の施策もあったため、情報が単発で雑多に出ていき、結果ファンの皆様に届かない状態ができないよう、「渋コナ」の冠をつけてひとつのプラットフォームからの情報発信を心掛けました。

―映画の宣伝は通常、公開日前に行なうイメージがありますが、渋コナでは公開初日から、内容によっては公開後からの施策もありましたよね。

今作の宣伝の大目標として、興行収入をどう積み上げるかだけでなく、リアルの場でのコナンコンテンツとの接触を増やしたいと考えていました。映画本編で「忠実な街の再現」があったからこそ、鑑賞いただいた方に映画の追体験してもらえ、それにより一層映画が盛り上がる。そこで渋コナ施策については一般的な宣伝タイミングである公開前ではなく、公開当日からの展開としました。結果的に公開日前後での盛り上げを実現できたとともに「鑑賞→渋コナ参加による映画の追体験→もう一度映画を観ておさらい」というサイクルを生み出すことができました。

―こういった施策を作品サイドから展開する際、場合によってはファンの方から反感を持たれてしまうこともあるかと思いますが、なにか意識したことはありますか?

毎回宣伝をする際の課題なのですが、表立ってあおりすぎるとファンの方の熱が冷めてしまいます。そのあおりの代表的なものが作品サイドから「聖地」と宣伝すること。そのため宣伝上はこの言葉は使わずにコミュニケーションをしていきました。製作委員会として「聖地化したい」というインナー目標はあったものの、外向きにはあえてうたわず、ファンによる自然発生的な「聖地」になることを狙っています。
特に渋谷は“スクランブル交差点”のようなアイコンの多い街。今作では、スクランブル交差点を予告映像に入れたり、劇場用スタンディを『スクランブル交差点の上に立てる』というコンセプトでデザインに落とし込んだり、意識的に渋谷のアイコンを入れて「今回の舞台は渋谷」と刷り込みをしていった上で、連動して「渋コナ」施策を展開していきました。

―確かに、渋コナでは「聖地」という触れ込みはなかったですね!渋コナの各施策にはたくさんのファンの方が参加されていますが、渋谷の街と名探偵コナンというコンテンツの相性についてはどう思われましたか?

劇場版名探偵コナンは、今作で25作目と長いシリーズ作品です。ファン層のボリュームゾーンである2030代を中心に、ファミリーからご年配の方々まで非常に幅広いファンの方がいます。一方で渋谷もかつての「若者の街」というイメージから多様化して変化している途中。いろんな人を受け入れ始めている街のイメージと、コナンのファン層が一致したところが大きかったと思います。
またプロモーション観点でいえば、渋谷は日本屈指の来街者数を誇る街で、広告出稿や施策を渋谷で展開することで、たくさんの人の目に触れるという費用対効果の高さも相性がよく、渋谷を舞台に宣伝をしていくこともひとつの大きな方針でした。

 

ファン向けの施策である「渋コナ」以外でも、各種映画宣伝の場として渋谷を活用

―渋コナだけでなく、映画PR自体の場でも渋谷での展開を集中させた意図はどのようなところなのでしょうか。

改めて、今作の舞台である渋谷はアイコンとしてわかりやすく、全国的にもイメージがしやすい街です。一度は訪れた経験がある人が多いのではないでしょうか?だから、その街を宣伝のフックにしていくことはファンの方のとっつきやすさ・自分ゴト化を促し、結果的に作品にとってもプラスの効果をもたらします。また劇場版名探偵コナンシリーズは作品ごとに毎回、舞台・キーパーソンが変わる作品です。その中でも今作は舞台の説明としてわかりやすいキーワードだったので、渋谷を推していこうと至りました。

©2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

―初めに出たハロウィンビジュアル展開はもちろん、他の渋谷でのPR施策もとても盛り上がっていましたよね。三浦さんとしては、どの施策が特に印象的でしたか?

バーチャル空間での宣伝は初めての試みでとても印象に残っています。アニメ作品なので2.5次元であるバーチャルの世界とも相性がよく、ファンの方と新しい形で接触できるチャレンジだったと思います。

―今作の数ある宣伝活動の中でも、やはり一番反響があったのはバーチャルハロウィンだったのでしょうか。

ファンの方のリアクションを感じられたという意味ではそうでしたね。コロナ禍で声優さんとファンが対面して交流できるイベントの実施が難しい状況も相まって、大変喜ばれたと感じています。コナンくんと安室さん(のアバター)がバーチャルの世界に出てきて、二人がジャンプしたらファンの方もマネしてジャンプしたり、スクランブル交差点で揉みくちゃにされたり、チャット欄を使ってコミュニケーションをとったり。今回の施策で、作品として新しい取り組み・ファンの方との交流のしかたが生まれたと思います。アバターを操作していた声優の高山みなみさん・古谷徹さんもとても楽しまれていました(笑)
一方、メディアアプローチの視点でいえばミヤシタパークにあるスケートボード場で実施した公開前のイベントは反響が大きかったです。渋谷区の長谷部区長、ゲスト声優の白石麻衣さん、そしてTOKYO2020夏季オリンピック選手である西矢椛さん、開心那さんに登壇いただき、舞台である渋谷の中でも、コナンくんの特技であるスケボーと絡めることのできる場所で開催でき、わかりやすさとインパクトを両立できたのではと思います。

▼トークイベント「江戸川コナン×安室透 スペシャルトーク in バーチャル渋谷」の様子

©青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996

「ガールズスケボーイベント in 渋谷」の様子

©2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

―ファンの方へのダイレクトなアプローチ・メディアへの露出アプローチともに渋谷での展開によって効果を感じられたんですね。最後に、「渋コナ」・PR施策の場を渋谷にして各種仕込み・実施した感想と、街に対して希望することを教えてください。

まずは「ここまでやらせてもらえるんだ」と、渋谷という街のキャパシティの広さを感じました(笑)
特に、東急線での駅構内アナウンスは東急電鉄さんとしてはほぼ初の取り組みだったそうで、コナン“ジャック感”を演出できたと思いますし、映画本編にも登場した渋谷ヒカリエでは、コナンくんが実際に捜査した痕跡が残っているような床面広告や、アーバン・コアのBGMをジャックさせていただけました。今回リアルの場所にコナンのキャラクターが染み出した展開を実施して思ったのは、街を使った展開ができるとここまでおもしろくなるんだなと。以前、「渋谷は新しい人・文化が入り乱れて固定の文化が根付きづらい街」という内容の記事を読んだのですが、そういう渋谷ならではのキャパシティの広さに、コナンという作品も受け入れていただき、幅広く展開することができました。
また名探偵コナンという作品はファンが多く、今回のいろいろな宣伝施策ではタイアップ先企業にもファンがいたからこそ実現できたものも多く、心強い限りでした。そういったことも含めて個人的には、我々作品側だけでなく渋谷の関係者側でも、コナンというコンテンツを活用して渋谷の街で遊んでいただいたと思いますし、今後も街としてコンテンツを活用した展開を迎え入れてくれたらと思います。

既存のパワーあるIPやコンテンツで街を活用した施策を実施すると、来街者も街の関係者も巻き込み、双方に満足度の高い展開をすることにもつながりそうですね!三浦さん、今回はありがとうございました。

 

当社が提供するサービス「ONE-STOP! SHIBUYA(ワンストップ渋谷)」では、媒体・空間・エリア事業者など様々な形でプロモーションを実現する渋谷の街のリソース情報を集約。それらをシームレスにつなぎ、独自性ある展開をサポートいたします。
サービスの概要についてはABOUTをご覧ください。


星野 ゆり/Yuri Hoshino

グループ企業への出向期間が長く、広告代理店でのSPプランニング、東急㈱での渋谷エリアブランディングのためのソフトコンテンツ誘致・支援とイベントスペース運営業務に携わる。
冬になると「凛」の牡蠣そばへ並々ならぬ情熱を注ぐ。いつか「茶亭 羽當」のプリンを食べるのが夢。
名探偵コナンが大好きでデスク周りがとんでもないことになっている。

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