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COLUMN

2021.03.09

「食のエンタメシティ」渋谷 商業施設から生まれる新しい情報発信のヒントを探る!

#渋谷#イベント#ヒント#ロケーション

再開発が進む中、続々と開業ラッシュをむかえた渋谷の商業施設。
それぞれの商業施設が独自のコンセプトを持ち、飲食フロアも個性的です。トレンドをおさえた飲食テナントの誘致やフードホールスタイルだけに留まらず、昨年開業したRAYAD MIYASHITA PARKの「渋谷横丁」は全国各地のソウルフードが楽しめるエンタメスポットとして人気を博しています。
また商業施設だけでなく、50年以上の歴史を持ちレトロな雰囲気で今や観光名所にもなっている「のんべい横丁」や、人気店や穴場のお店、お洒落なカフェが集う宇田川エリアなど、渋谷は様々な色を持つ食のエンタメスポットが充実している街なのです。
今回は「食のエンタメシティ」でもある渋谷においての食を切り口とした新しい情報発信のヒントと可能性を探ります!

昨年の202011月に渋谷スクランブルスクエアと渋谷ストリームで開催されていたIGPペイ・ドックワインレストランキャンペーンでは、2つの商業施設内の合計27店舗のレストランテナントで南仏の地ワイン「IGPペイ・ドックワイン」を提供し様々な料理とのペアリングが楽しめる企画が開催されました。
当キャンペーンの主催者であるIGPペイ・ドックワイン委員会のエージェントとして、今回の企画の立案からプロモーションの進行管理を担当したSOPEXA JAPON株式会社の安藤氏を取材しました。


安藤陽子(Ando Yoko
2019年6月SOPEXA JAPON 株式会社入社。ワインインポーターでのマーケティング経験を経て、現在ワインやチーズの生産者委員会の販売促進プロモーションやトレード向けのセミナーの企画運営を担当。


 

―IGPペイ・ドックワインのプロモーションではこれまでどんな展開をしてきましたか?

安藤 まずマーケット全体の話をしますと、日本のワインの消費者の年齢層は40代以上とやや高めで若干男性寄りなのですが、IGPペイ・ドックワインはカジュアルに楽しめる味わいの南仏のワインで、比較的手ごろな価格帯でもあるので、流行に敏感な若い女性をターゲットに認知拡大を目指しています。過去には表参道でのファッションイベントの参加店舗の店頭で試飲キャンペーンを行ったり、横浜のイルミネーションイベントでワインの販売などを行ったりしてきました。

―今回、開催エリアを渋谷に選んだ理由を教えてください。また主催者であるフランス本国の委員会の方々は渋谷の街をどのように評価されていたのでしょうか。

安藤 渋谷はここ数年で再開発が進み新しい商業施設がオープンしている話題のエリアであり、情報感度の高い女性が集まる街です。また多くのIT企業がオフィスを構えていますのでオフィスワーカーの方々にも仕事終わりのシーンにワインを楽しんで頂けることも期待できると思います。そういったことから実施エリアとして渋谷を提案しました。渋谷は海外の人の認知度が高く、流行の発信地というイメージが強いので、提案の段階から委員会メンバーも喜んでいました。

―今回の渋谷でのプロモーションではどのような成果を感じていますか?

安藤 近年オープンした注目度の高い2つの商業施設を連動させ、27店舗というたくさんのレストランテナント様にご協力頂けまして規模感的にも非常に盛り上げられたと感じています。参加店舗も多かったので店頭での露出も大きかったですし、屋外メディアを活用した施設様の告知サポートもあり発信力のある展開ができました。
また、キャンペーン中に複数の店舗を訪問させて頂いたのですが、店舗のスタッフの方が本当に熱心に商品やキャンペーンの説明をしてくれており、今回のプロモーションが店舗スタッフの方々に商品の理解を深めて頂く機会にもなったこと、そしてスタッフの方からお客様に伝えて頂くことで多くの人に伝わる広がりのあるプロモーションになったと思います。

―商品のブランドコンセプトや魅力を理解した人が商品を提供するというのはとても大事なことですよね。理解を深めてもらうために何か工夫をしたのでしょうか。

安藤 商品の特徴を理解して頂いたり、お店で提供するワインを選定頂くために、店舗向けに試飲付きのスタッフトレーニングを行いました。調整は大変だったのですが、これがすごく良かったと思っています。店舗のスタッフの皆様と同じ方向を向いて同じメッセージを発信することができました。

―いわゆる試飲やサンプリングイベントとは異なるレストランプロモーションの良さはどんなものだと思いましたか?

安藤 IGPペイ・ドックワインは「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「シャルドネ」といったぶどう品種の名前が表示された「ヴァラエタルワイン」と呼ばれるワインが多くあるのが特徴で、今回のキャンペーンでは様々なぶどう品種を使用した20種類のワインを揃えましたが、本当にそれぞれ違う味わいで、いろんな種類のお料理に合うんですね。それを実感頂けるのがレストランプロモーションの良いところであり、さらに27店舗という多種多様なレストラン様と一緒に組ませて頂けたことでそれをより楽しめる環境になったと思っています。
今回は、知って頂き楽しんでいただくキャンペーンを実施できましたが、今後はリアル・オンライン含めた売り場連動で購入まで繋げられるキャンペーンが出来たらと思います。

 

またIGPペイ・ドックワインレストランキャンペーン開催施設の渋谷ストリーム、渋谷スクランブルスクエアの施設販促担当の方々にも取材させて頂くことができました。施設の販促企画の立案や実行を担う立場としてのお考えを探ってみました。


(左から)渋谷ストリーム:酒井あす菜氏、益村謙一氏

 

渋谷スクランブルスクエア:武藤真守氏


 

―どちらも多様な飲食テナントを抱える商業施設ですが、施設のブランドやコンセプトから「食」要素をどのように捉えているのでしょうか。

益村(渋谷ストリーム) 渋谷ストリームは、約30店舗が集まる商業ゾーンや、その他ホテル、オフィス、ホールを備える大規模複合施設です。これまでは、歳時記に合わせた各店舗のシーズンメニューを訴求する販促施策や、バラエティ豊かな飲食店舗をさらに深堀し、11店を名店にするような飲食企画を実施してきました。また、施策を実施する上で、平等性が担保されているかという点も重視しております。これからも渋谷ストリームに行けば、様々な魅力的なお店に出会えることを訴求し、「渋南エリアのグルメスポット」をより多くのお客様に知ってもらえるような飲食企画を開催していきます。

武藤(渋谷スクランブルスクエア) 渋谷スクランブルスクエアは2019年に開業しました。12F13Fがレストランフロアになりますが、これまでは高単価のしっかりした飲食テナントが駅周辺に無かったことから、12Fにそのようなテナントを誘致し、13Fはカジュアルでオープンな空間にし、各店舗をはしごしてもらうようなコンセプトとなっております。
コアターゲットを30代以上のオトナに設定しており、本物・本質を提供する商業施設として洗練されたブランドイメージを大事にしていますので、“いちごフェア”といった、いわゆる食材切り口の企画は現時点では行わないなど販促施策の方針においてもブランドイメージを大切にしています。

―今回のIGPペイ・ドックワインレストランキャンペーンはいかがでしたでしょうか

益村 渋谷ストリームの飲食店舗には、様々な国のグルメが楽しめるバラエティ豊かな店舗が揃っています。今回のキャンペーン内容が、ワインということもあり、様々なジャンルの飲食店が参加しやすかったこと、そしてワインを無償提供いただけることで、店舗側にとってメリットが大きく、結果として14店舗に参加頂けました。参加いただいた店舗からは、ペイ・ドックワインは飲みやすく、ワインと相性の良い商品も多かったため、価格帯も含めお客様からも好評で、予想以上に反響が大きかったなどのお声を多数いただきました。

武藤 先ほども申しましたが、渋谷スクランブルスクエアは「バルホッピング」と言って館内店舗をはしごできるようなMDや空間づくりを意識しています。今回のIGPペイ・ドック企画は、スモールポーションメニューと言われる小皿メニューとワインのペアリングになっており、別の店舗でもまた違うおつまみメニューとワインの組み合わせを楽しみたくなるので、まさにバルホッピングを誘発していた企画でした。

 

レストランキャンペーン企画以外にも商業施設ではどんな新しい情報発信のやり方があるのかも探ってみました。

―今回のようなレストランキャンペーン以外にも様々な情報発信が考えられますよね。例えば渋谷スクランブルスクエアの10Fで伊藤園が展開している「ocha room ashita ITOEN」は、コンセプトショップの常設店舗といった面白い展開をしていますね。

武藤 そうですね。メーカー企業のコンセプトショップの出店は最近よく見ますし、ブランドコンセプトの体験の場として効果的ですよね。常設店でなくても期間限定のポップアップショップ展開でマーケティングをしているケースも多く見られます。渋谷スクランブルスクエアの12Fのレストランフロアにもイベントスペースがあるのですが、飲料メーカーさんのポップアップイベントの実績があります。

―渋谷ストリームでは20183月頃に“渋南バル”という食イベントを実施されておりましたね。このイベントの面白いところはストリームの商業施設だけに留まらず、商業施設周りの路面店などと一緒にエリアで開催されていたところだと思います。

酒井(渋谷ストリーム) 渋谷ストリームは、施設の開業と合わせて、渋谷リバーストリートという600mの遊歩道が整備されたことが特徴で、そこに隣接するオフィスや住民の方々と共生をしながら渋南エリアに賑わいを創出していくことを目指しています。渋南バルを皮切りに、2019年度は近隣の団体と連携した大人の部活動「STREAM BASE」を始動し、近隣のメイク専門学校やゴスペル団体等とコラボしたフェスを開催したり、金王八幡宮の例大祭に合わせて納涼祭を開催したりと、活動の幅を広げています。
今後も、施設を飛び出し、地域の方や周辺店舗・団体の方を巻き込んだ、渋谷ストリームにしかできない、渋谷ストリームだからこそ実施すべき企画を実施し、渋南エリアを盛り上げていきたいです。

 

それぞれが独自のコンセプトや狙いを持ち画期的な施策を繰り広げる商業施設。渋谷の街には様々な商業施設が集積しており、新しい情報発信の形が次々と生み出されるエネルギーを感じました。

安藤さん、そして商業施設のみなさん、どうもありがとうございました。

このコラムでは、これからもイベントレポートやインタビューなど、渋谷エリアの最新動向を発信していきます。
渋谷エリアのイベントスペースやユニークベニュー、駅・屋外広告についての情報はPLACEをご覧ください。


岩八重 祥子 / Shoko Iwayae

1983年福岡県生まれ。広告営業、企画プランニング経験を経て企画開発本部ソリューションチームに配属。新規事業「ワンストップ渋谷」の立上げ、戦略に携わる。
渋谷の好きな場所は家系ラーメンの「侍」。現在はグルテンフリーに挑戦中のため大好きなラーメンを休止。

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