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COLUMN

2021.02.16

デジタルクリエーションの最先端を捉えるフェスティバル「MUTEK.JP」~後編~

#渋谷#イベント#ヒント

まちづくりのためのイベント誘致。
渋谷の特性とまちづくり戦略からイベントを紐解く

前編にてMUTEK.JPの渋谷の街で開催には渋谷のデベロッパー企業である東急とのつながりが大きく起因していたとのことですが、街の開発を進めるデベロッパー企業がイベント誘致を行う狙いとは何なのか。
後編では、まちづくりを行う東急側の視点からイベントを紐解いてみたいと思います。
今回は東急㈱ビル運営事業部渋谷運営グループの飯島隆人氏にインタビューさせて頂きました。


飯島 隆人(Ryuto Iijima)
2017年東急メディア・コミュニケーションズ株式会社入社。
2018年に東京急行電鉄株式会社(現 東急)へ出向。
渋谷ストリーム ホール、渋谷リバーストリート等のイベントスペースの担当となり、今に至る。
ビル運営事業部 渋谷運営グループ 価値創造担当 および沿線生活創造事業部 エンターテインメント戦略グループ 企画担当を兼務。


 

―渋谷では“100年に一度”と言われる大規模な再開発が進んでいますが、どのようなまちづくりビジョンを掲げているのでしょうか。

飯島 東急グループは、世界を牽引する新しいビジネスやカルチャーを発信する「エンタテイメントシティSHIBUYA」の実現を目指し、まちづくりを進めています。具体的に言うと「渋谷にしかない新しい商品、サービス、業態店舗や、話題性の高い広告、イベント、ライブパフォーマンスなどのエンターテイメントを誰でも体験し楽しむことができる街」を街の将来ビジョンとしています。

―飯島さんが所属している部署は東急が行うまちづくりにおいてどのような役割を担っているのでしょうか。

飯島 まちづくりとイベントは切っても切れない関係であり、より良いイベントを実施し、イベントスペースをより良いものにしていくことが将来的にまちづくりに繋がると考えています。
イベントによってそのエリアのイメージは大きく変わります。
例えばDJを入れたパーティ系のイベントをやり続けるのと、クラフトマーケットのようなイベントをやり続けるのでは、そのエリアに訪れる人が変わってきますし、人が増えればその属性の人の需要に合った街に変わっていくと考えています。
渋谷ストリーム周りのエリア(渋南エリア)をどんな街にしたいのか、どんな街なら今そのエリアにいる人は喜んでくれるのか、そういったことを考えチームで共通認識を持ってイベントスペース運営をしていく。それが私が担っているまちづくりです。
まだまだ駆け出しですが、渋谷ストリーム前の渋谷リバーストリートを軸に渋南エリアを盛り上げようと画策中です。今後の渋南エリアにご期待ください!

 

―では早速本題に。MUTEKの渋谷誘致はどのような経緯だったのでしょうか?

飯島 そもそものきっかけは2018年に遡るのですが、“エンタテイメントシティSHIBUYA”の実現に向け、親和性のあるコンテンツホルダーやパートナーとの接点を持ち、これからの渋谷の街や施設での具体的な企画の誘致・展開につなげようと2018年5月にカナダで開催された「C2 MONTREAL」というビジネスカンファレンスに、私ではないのですが当社の人間が参加しました。
そこで見えてきたモントリオールのクリエイティブビジネスは、実力のあるクリエイティブ企業が多数おり、日本にはまだですが世界に進出してきている状況であり、モントリオール発のクリエイティブ企業が今後注目されていく可能性を感じたようです。
そして渋谷の価値ある場づくり・まちづくりを実現するために東急にとってケベック州の企業は関係構築したい相手先であると考え、スモールスタートでも何か実践してみようとなったそうです。

―渋谷の価値ある場づくり・街づくりのために関係構築したいとありますが、どのような点でそう考えたのでしょうか?

飯島 渋谷の特性としては、渋谷は「クリエイティブ系産業の一大集積地」と言われていますし、ITやスタートアップ文脈でのまちづくりも加速しています。また劇場、映画館、音楽などのエンターテイメント施設も集積しています。まちづくりとしては、クリエイティブ・コンテンツ産業や都市観光資源を集積させ育成し成長させることで文化発信を実現させていこうという戦略を掲げており、渋谷の街の特性やまちづくり戦略に非常に合致していたと思われます。

|そこからMUTEKイベントの誘致を始めたのでしょうか?

飯島 誘致に注力したイベントは、「MUTEK.JP」と「This is Quebec」でした。「This is Quebec」はケベック州政府が地域経済産業発展のために主導・注力する取り組みとして行われているイベントで、カナダ・ケベック州で活躍する最新のクリエイティブ業界を紹介するショーケースBtoB向けビジネスイベントです。クリエーター、アーティスト、スタートアップが自ら積極的に参加しビジネス関係構築を主目的に世界を巡回しています。
ケベック州政府在日事務所と、またMUTEK Japanの岩波氏とやり取りを行い、2019年は「MUTEK.JP」と「This is Quebec2つのイベントの誘致開催が実現しました。渋谷のまちづくり的にも、また国際的な産業や文化活動を発展させていく良い機会になったのではないかと思います。

2019年は渋谷の街なかの6会場を中心に展開されたのですよね。

飯島 はい。渋谷ヒカリエ、渋谷スクランブルスクエア、渋谷ストリーム、LINE CUBE SHIBUYAEDGE ofLIQUIDROOMで開催しました。会場を街に点在させ回遊性を持たせた設計となり、お台場や幕張のような大規模な展示場でのショーケースではない渋谷らしい展開が実現できたのではないでしょうか。東急の施設は駅まわりに集積しているので、こういった回遊型設計の際にポイントとなれることが多いですよね。

|飯島さんは渋谷ストリームのイベントスペース管理のご担当をされているとのことで、MUTEK.JP実施に向けての現場での対応や調整をされていたのですか?

飯島 はい。MUTEK.JPでは20192020年と渋谷ストリームホールをご利用頂いておりまして、両年ホールの窓口担当としてやり取りさせて頂きました。
ホールだけにとどまらず、渋谷ストリームに隣接する広場や渋谷リバーストリートといった屋外空間でも連携したイベントが開催できないかを岩波さんに相談しながら2019年はARを絡めたコンテンツを屋外の広場などで実施することができました。2020年はコロナの影響で屋外施策は実施できなかったのですが、ホールだけで完結しない、他スペースや可能であれば他施設とも連携して渋谷の複数箇所で盛り上げることがイベントにとっても街にとってもプラス。という意識を持っています。

|前編の取材時に岩波さんがストリームホールのサウンドシステムをとても評価していました。会場に一流の機材とシステムが整っており、サウンドに非常にこだわりを持つMUTEKにとって素晴らしい環境だったと仰っていました。

飯島 嬉しいお言葉ですね。渋谷ストリームのホールはコンサートやライブ用に作られたハコなので、渋谷ヒカリエや渋谷キャストといった東急のその他の施設のイベントスペースに比べて音響設備のスペックが高いんです。

MUTEK.JP2年携わってみて、街への効果をどう捉えますか?

飯島 まだ2年ですので大きな変化は見られないと思いますが、大事なのは継続することで、その継続の中で様々な側面からイベントの発信力を大きくしていくご協力をさせていただきたいです。
発信力が上がれば、渋谷で最先端のイベントが開催されていることの訴求につながりますし、他施設や公共空間との連携によって街全体を盛り上げることができます。そのポテンシャルがMUTEK.JPにはあると思っております。

 

飯島さん、どうもありがとうございました。

このコラムでは、これからもイベントレポートやインタビューなど、渋谷エリアの最新動向を発信していきます。

渋谷エリアのイベントスペースやユニークベニュー、駅・屋外広告についての情報はPLACEをご覧ください。


▽MUTEK.JP 2020オフィシャルサイト

https://tokyo.mutek.org/


岩八重 祥子 / Shoko Iwayae

1983年福岡県生まれ。広告営業、企画プランニング経験を経て企画開発本部ソリューションチームに配属。新規事業「ワンストップ渋谷」の立上げ、戦略に携わる。
渋谷の好きな場所は家系ラーメンの「侍」。現在はグルテンフリーに挑戦中のため大好きなラーメンを休止。

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